◆ GPSログデータのCAD図面への取込
- GPSロガーの添付ツールから取り出したCSVやGPXファイルを元に、その中の経度・緯度・標高のデータを取り出して、CAD図面に取り込むべくJGD2000(公共直角座標系)に変換する必要があります。
- WGS84の経緯度データからJGD2000の公共座標系に変換するための正式なツール・道具立ては、国土地理院内のサイトの「座標変換プログラム"trns96"」にあります。
- ですが通常連続した踏査経路、GPSロガーでいうところのトラッキングデータは連続しています。ですので上記変換をまとめて連続変換してくれる、フリーの公開ツールを使用します。
- 便利な公開ツールには、xy2bl5.xls(by MASA)やAp_BlXy.xls(by (有)アピア)があります。何れもEXCELワークシートで提供されています。
◆ WGS84ファイルの読み込み
- WGS84形式のCSV形式出力ファイルをEXCELで先ず読み込みます。CSV内には右図に示すようにlat(緯度)、lon(経度)、ele(標高)、time(測位日時・時刻)の4つの要素で読み込まれます。
- ここでの注意点が2点あります。1点目はWGS84形式ファイルCSV出力の経緯度データが ddd.dddddd 形式であることです。2点目は前ページのGPS機器に絡むポイントですが、測位記録間隔です。
- 地質踏査では一日中ずっと移動し続けますが、そのスピードは斜面内だとそれほど大きいわけではありません。ですのでGPS機器の測位記録間隔を10秒程度にしておけば充分でしょう。データサイズを小さくすることができます。
- GarminGPSではGPXファイルがデフォルトですので、少し面倒です。ですが基本的にはxmlファイルですので、EXCELで強引に読み込みます。手順は下記のとおりです。
- 開くファイル名の欄に*.gpxと入力し、オプションがXMLファイルとなっていることを確認し、目的とするファイルを選択します。拡張子が異なる旨の警告メッセージが表示されますが、はい(Y)で続けます。次にファイルを開く方法を聞いてきますので、「XMLテーブルで開く」にしてOKを押します。すると下図に示すように、読み込むことができます。
◆ JGD2000(平面直角・公共座標系)データへの変換
- マクロを有効にしてAp_BlXy.xlsを読み込んでおきます。そしてCSV形式ファイルではA2:〜行末を、またGPXファイルではD2:〜行末の全体をコピーし、Ap_BlXy.xlsの緯度欄に値貼付します。経度、標高についても同様の作業を繰り返します。
- Ap_BlXy.xlsの変換方法、測地系、座標系をそれぞれ正しく設定し、実行ボタンを押すと、Ap_BlXy.xlsのXとYの列に下図に示すようにJGD2000平面直角座標系のデータがそれぞれ変換出力されます。
- ここからはCAD図面へのデータ取り込みへの下準備と言ったところでしょうか。K列にコマンドライン貼付用に座標の(X,Y数値列)の計算数式を入力します。JGD2000変換値の単位はmであり、調査成果のCAD図面では細かい精度を要求されませんので、少数第1位でラウンドしています。
- CAD上での座標入力ではX,Yを入れ替えるのがポイントです。また3Dポリラインで入力する場合には、X,Y,Zの数値列を生成する数式を入力します。そして、いずれも元データの数(行数)だけ下方に複写します。
- そうするとK列のK11〜行末まで、JGD2000形式での各測位データのX,Yの座標数値列が生成されています。
◆ CAD図面上へのプロット
- AutoCADを起動しておきます。Ap_BlXy.xlsに切り替え、K11〜行末まで全体をコピーします。
- AutoCADに切り替えて、2Dポリラインを実行します。右図に示すようにコマンドラインではx,yの座標数値列の入力を促されます。右クリックして表示される、貼付を実行すると、K列の座標数値列がCAD上にポリラインでプロットされます。ほんの数秒でトラッキングログがCAD図面上に描かれていきます。
- この時、測量CADの図面が原点配置の印刷イメージの場合には、ログデータと地形図は重なって表示されません。原点付近に図面CADデータが、第4象限の遠く離れた位置にログデータ(ライトグリーン表示)が配置されているためです。
- ログデータと測量CAD図面が重なり合うようにするには、図面データを平面直角座標系の実データ上に配置すべく、朱書きしたように縮小、回転、移動をします。
◆ CAD図面上へのログプロット事例
- 下図にCAD図面にログをプロットした事例2つを示します。左側はのり面を伴う道路沿いでやや乱れたものの、斜面内で比較的良好なログが収録できた事例です。斜面内でも高木が少なくやや開けた林地内であったことから、最大で10m程度の誤差、通常は2〜5mの範囲で、ルートや場所が特定できました。
- 右側は杉の植林が施行されていた斜面内で、通常でも5〜10mの誤差を生じており、急な露岩斜面内(左下のコンターの密な区域)では完全にログデータが飛びまくって、全く位置の特定ができませんでした。
◆ 平面直角座標系配置図面上でのCAD作業について
- ビューポートの操作に慣れたなら、予め平面直角座標系の配置図面で作図されることを、お薦めします。ただし回転・縮小した図面上にそのまま地質情報を載せていくのは現実的ではありません。起終点が反対向きの場合など、先ず無理でしょう。
- そこで成果イメージそのままのペーパー空間で作図し、その作図したオブジェクトを空間変更コマンドでモデル空間に配置する、という方法があります。ビューポート内の尺度やZ軸回転も自動的に配置されます。
- 修正(E)、空間変更(S)でコマンドが実行できます。ビューポートが複数ある場合には目的とするビューポート内をクリックします。