◆ GPSログデータの運用
- GPSロガー内に保存されているデータの内主要なものは、世界標準時、経度、緯度、標高(ジオイド)等ですが、この規格をWGS84と称しています。専門的でより詳細な情報が記載されたNMEA-0183という、国際規格のデータフォーマットもあります。
- 通常の使用を想定したGPS機器から取り出すログデータは、上項主要データをGPXやKMLという拡張子のファイルに書き出して利用します。これらのファイルは、XML形式の階層的構造を有するデータ群として記述したテキストファイルです。
- そして一般的に扱われ汎用的に利用されているGoogleMAPなどとの親和性が非常に良くなっています。
◆ GPS機器からのログデータの抽出
- GPS機器・ロガーには通常データを抽出するために、microUSBの端子があります。ここにUSBケーブルでパソコンを接続すると、GPS機器のログデータが見えるようになります。見え方とログデータの抽出方法は機種により様々ですが、測位精度が良い携帯型のお薦めWBT-202と、地図搭載機種で常用している機種eTrex30Jとで概説します。
- 先ずWBT-202をPCに接続すると左図のように表示されます。そして日々のログデータフォルダ内には、右図のように独自形式でファイルが保存されています。
- 次に専用ツールWBT_Tool.exeを起動します。ブラウザーも表示されますが、常駐しているツールに切り替えます。変換元のログデータソースを指定してから、出力する変換形式を指定し、変換ボタンで目的の形式にログデータが出力されます。
- 出力したファイルを直ぐにGoogleEarth上にプロットするにはkmzに、ログデータをCADに取り込むためにはcsv形式に、他の場合には汎用のGPX形式にしておけば、問題は無いでしょう。
- 常用しているGarminGPSにもmicroUSBの端子があり、ここにUSBケーブルを接続すると、パソコン上に右図のように2つのドライブレターが見えるようになります。
- 右図のDドライブは機種本体のシステムディスクであり、Eドライブはログを収録するmicroSDカードです。GarminGPSのログデータはデフォルトがGPXファイル形式保存のようです。日付と同名のGPXファイルが生成・保存されているのが分かります。
◆ ログデータの便利な利用法、代表的な2例
- 変換抽出したログデータは、基本的にはデータが構造的に配置されたテキスト形式のxmlファイルです。これをそのまま利用する方法を2つ紹介します。1つ目はGoogleEarth上にログをそのままプロットする方法です。kmzファイルを掴んで、GoogleEarth上でドロップします。そうするとログデータがそのまま画面上にプロットされます。gpxファイルでも同じようにプロットできます。
- 下図では地質踏査の一日中のトラッキングデータをプロットしています。標高・高さのデータも有しているので、斜面内を移動しているのが3次元的に分かります。下記では林地内の測位データに誤差が大きいと予測できたことから、異なる2種の機器を携帯しました。両者の誤差は通常5〜10m程度ですが、大きくは20m、希に50m近くになることもあります。
- 2つ目はカシミール3Dという、アプリケーションソフトを利用します。このソフトは、国土地理院の1/25,000地形図を表示させてくれる優れもので、GoogleEarth上にログデータをドラッグ&ドロップしたと同じ操作で、地形図画面上にトラッキングログデータがプロットされます。
- 下図では、1昨年の広島豪雨災害の現地調査団に加わった時の踏査経路です(一部加筆)。このように難しい操作を殆どしないで、簡単・便利にログデータが利用できます。読み込めるファイルは図面右下に示すように多くの形式に対応しています。