◆ システム変数について
- AutoCADでの作図支援で触れてこなかった重要な事項があります。それはシステム変数です。AutoCADのシステム変数を理解するためには、システム変数毎に適用範囲が異なることを知っておく必要があります。
- その適用範囲としては、インストールされているPC環境に適用されるもの、保存されるファイル毎に適用されるもの、モデル空間やペーパー空間毎に適用されるもの、等々です。こうしたシステム変数とその適用範囲を理解するとAutoCADでの操作性がワンランクアップして、効率性が向上します。
- 地質調査の成果取りまとめに際して、主要で関連性の大きいシステム変数について概説します。なおシステム変数の宣言については、コマンドやアイコンが用意されているものもあれば、そうでないコマンドラインのみで宣言するものまであります。
◆ PC環境に適用される、基本編集作業に関わるシステム変数
- ZOOMFACTOR(コマンドライン):マウスのスクロールを回したときの拡大・縮小の比率を変更できます。初期値が60のようですが、3〜100の間で作成図面の精緻さに合わせて適当に変更すればよいでしょう。
- SPACEWITCH(コマンドライン):ペーパー空間上での作業が増えたために、最近変更したシステム変数です。ビューポート内をダブルクリックしてモデル空間に移動できないようにする設定0にしています。ペーパー空間上のオブジェクト編集時に、誤ってモデル空間に移動する事態を避けることができます。デフォルトは移動可能の1です。
◆ DWGファイルに保存されるシステム変数
- MIRRTEXT(コマンドライン):鏡像(ミラー)コマンドで文字そのものを反転させるかどうかを設定します。右図のように、0で表示位置と位置合わせは反転されますが、文字列の向きは反転されません。1では全てが反転されます。
- ボーリング柱状図が込み入って重なる場合、柱状図を反転させて表示することが希にあります。柱状図そのものの絵柄は反転させても、内部の文字は文字させたくない、という場合があります。ですので通常は0に設定しておけばよいでしょう。ただしブロック図形のまま反転させると、値の設定に関わりなく反転します。したがってブロック図形そのものを反転させるのではなく、ブロック図形編集モード内で、0のままで全体を反転させて、その変更を保存すればよいでしょう。
- IMAGEFRAME(アイコン):外部参照でラスターイメージ組込み枠を非表示0、表示1、表示・非印刷2、の各設定でコントロールできます。集成配置が決定した地形などは、非表示0にすべきでしょう。現地踏査の下絵をスキャニングして読み込んでいるような場合には、表示・非印刷2に設定して作業します。
- LTSCALE(コマンドライン):図面全体に影響するグローバル線種尺度を設定します。新規線種をロードする際にも設定できます。通常、印刷イメージのまま成果図面を作成する場合には1の設定のままでよいでしょう。例えばmm単位の設定図面を入手した場合などは、縮尺1/1,000程度と推察されるので、1000X0.2=500程度の尺度が適当でしょう。
◆ モデル空間、ペーパー空間、ビューポート毎に保存されるシステム変数
- PSLTSCALE(コマンドライン):複雑な図面で多種の線種が既に利用されていて、それらにほどよい独自尺度が設定されているような場合には、前項のLTSCALEを変更すべきではありません。ただしモデル空間ではきちんと破線に見えているのに、ペーパー空間では実線に見える、図面内にそうしたオブジェクトがある場合には、PSLTSCALE=0 を入力します。この設定をすると、いわばビューポート尺度を無視してモデル空間の線種設定のまま印刷してくれます。この設定はペーパー空間毎に設定・保存されます。
- UCSVP(コマンドライン):ビューポート内でZ軸の回転を連続して操作する場合などに重要となるシステム変数であると最近認識しました。特殊なシステム変数でありビューポート毎に保存され、0でロックを解除し、UCSは現在のビューポートのUCSを反映、1でロックされ、UCSはビューポートに保存されて現在のビューポートのUCSの影響を受けません。