◆ AutoCADのトラブル対策
- AutoCADを操作しているときに突然フリーズしたり、フェイタルエラーが生じて強制終了する場合があります。またDWGやDXFファイルが読み込めない、読み込めても何時も警告メッセージが表示される、といったことがよく発生します。
- これらの原因は、AutoCADそのもののプログラム上の問題、読み込むデータファイルの生成(開発)者の問題、フォーマットなどのデータの中身そのものの不具合、など色々存在します。具体的で個別のトラブルについて対応策を概説していきます。
◆ AutoCAD作業中のクラッシュ時のデータ復旧方法
- 滅多にないことですが、突然の停電、原因不明のリセット、突然のフリーズ、クラッシュ等で作業が中断することがあります。こうした場合には最新バージョンでは、直後のAutoCAD再起動時に自動的に「図面修復管理」が表示されて、関連のデータファイルやテンポラリーファイル群が表示されます。この機能を使用すれば、たいての場合には15分前のほぼ直前の状態のファイルを復旧することができます。
- 旧バージョンでは、テンポラリーファイルから復旧する手立てがあります。そのためには右図の示すように、保存場所を確認しておきましょう。クラッシュ直後に、Cドライブのシステムディスク内の上記保存フォルダから更新日時を確認しながら最新の、拡張子.sv$の付いたファイルを探します。目的とするファイルを探し当てたら、別の場所に待避して拡張子を.dwgに変更して読み込みます。これで少し前までの状態に戻すことができて、編集作業のロスを最小限にできるはずです。
◆ 非ネイティブのDWGファイルを読み込む
- 測量CADから出力したDWGファイルを読み込むと、右のような警告画面が表示されることが多々あります。これは図面ファイルは、AutoCAD との互換性は保証できません、ということを意味しており、編集加工できないわけではありません。そのまま編集加工し続けることは可能ですが、開く度に警告メッセージを見るのは気持ちの良いものではありません。
- この事態を回避する1つの方法としては、一旦DXFファイルに変換出力してから、再読み込むことです。ただし最新のバージョンになればなるほどファイルフォーマットの仕様が厳しくなっているようで、警告を非表示にできる保証はありません。
- 確実な2つ目の方法としては、新しい無地の新規図面に、非ネイティブファイルを外部参照でアタッチ組込し、その後バインド・挿入・分解、とすることで、警告は表示されなくなります。本格的な編集加工をする前に、この作業は済ませておきましょう。
- 比較的簡単な3つ目の方法を紹介します。余り大きくないファイルに対して、オブジェクトを全選択し、基点コピー・ペーストする方法です。その際には、元図面や新規作成図面の形式・単位管理・挿入尺度等を確認し、統一しておくべきでしょう。
◆ 損傷のあるDWGファイルの読み込み
- 最新のバージョンになればなるほどDWGファイル内のデータフォーマットの仕様が厳しくなっているようで、上項の警告表示を越えて、データフォーマットが正しくないと判断された場合に表示されるようです。
- スタート画面からのファイル、図面修復管理、で対象ファイルを読み込んで、正常に読み込めれば良いのですが、上手くいかない場合が多いようです。
- ここでの解決方法は、旧バージョン(〜AutoCAD2008)で読み込んでみることです。データフォーマットの仕様はそれ以前では緩いようで、周囲にその環境があれば試してみるべきでしょう。
- もし読み込めたなら、上項の非ネイティブファイルに対して行った、外部参照組込、バインド・挿入・分解、を実施すれば安心です。
◆ ファイルの肥大化対策
- 複雑な編集作業を繰り返していると、思いの外ファイルサイズが大きくなることがあります。これはファイル内に表示しているオブジェクト以外にも、データを抱え込んでいるからです。そうした不要なデータを削除する方法があります。
- 下図のとおりメニューからファイル、図面ユーティリティー、名前削除を実行します。そうすると右側のようなリストが表示されます。この中には図面内で使用していない各種オブジェクトが、種類毎に表示されています。+記号の下層で表示されるものが具体的な非使用オブジェクトです。
- これらの内不要になったもの、あるいは明らかに意図しないで存在するものを見極めた上で、名前削除します。そうするとファイルがスリム化できます。特にDWGファイルを外部参照で読込み、分解後の残骸がブロック図形でそのままになっている場合には有効です。