◆ GPS機器(GPSロガー)の選定
- 機能的には地質調査時の現在位置を正確に把握できること、また踏査経路を再現できることが必須要件でしょう。機器選択のポイントは大きく2点、GPSチップメーカーと、GPS機器製品に仕上げている開発ベンダーです。前者が位置の精度に、また後者が使用時の使いやすさに影響を与えます。
- 現在位置を表示するだけの非常に小型のもの(廉価)から、地図上に現在位置を表示する(数万円とやや高価)形態まであり、その中から地質調査に適当な機種を選んでみたい。
◆ 用途別GPS機器の性能・仕様一覧
- 右表にGPS機器の用途別種類や測位精度に関して、大きく3つに区分して一覧表を掲げました。
- 上段の機器で廉価ものは1万円以下のものもあり、中段では数万円くらいで、ここら辺りまでが選定検討対象範囲です。下段では100万円前後から数百万円と測量専門業者の機器で、検討対象外でしょう。
◆ 地質調査に利用できるGPS機器とその分類
- 選定検討対象範囲内の機器を細かく4つに分類して、その利用形態と実用性を右の一覧表にまとめてみました。
- GPS機器がどのようなものかは、携帯・スマホを除く2.3.4.を下記に写真で示しておきます。
- 1.の携帯・スマホでもGPS機能搭載は必須であり、アプリも非常に充実してきました。踏査中に現在位置をGoogleMap上で確認できますが、常時使用し続けるとバッテリーの消耗が課題です。また通信ができない場合、通信できても詳細な地図が無い場合があり、万能ではありません。
- 2.は小型携帯型のGPSロガーですが、2A、2Bは測位データをモニタリングできるタイプ、2C、2D、2Eはそうではないタイプです。
- 3.は液晶画面が装備され、1/20万程度の地形図慨図が標準組込、オプションで1/25,000の(登山用)地形図を組み込めるものです。
- 4.はWindowsMobile搭載のPDAです。汎用PDAの4Aは(4)のGPSカードを装備して使用し、4Bは組込済みのGPS専用PDAです。
◆ 機能、使い易さ、測位精度、等から見たGPS機器の選定
- 機能や使い易さは、GPS機器を作成したメーカーの組込ソフトウェアのできに因ります。代表的な一般市場向けメーカーには、Garmin、Magellan、Holux、YUPITERU、等があります。他にWintec、Transystemといったマイナーなメーカーもあります。
- また測位精度に直接関わるGPSチップメーカーには、メディアテック社(MTK)、SiRF社製のものが多いようです。また最近のスマホにはBroadcom社のチップが搭載されているらしいです。マイナーですが専門家向けには、U-blox社製チップ搭載機器が好まれています。
- 大まかな結論としては、予算が少なければ2.を、予算があれば3.を選択し、予算に余裕があれば3.に地形図を導入する、というのが次善の選択枝ということになるでしょう。
- どのGPS機器・ロガーにも、電源が入っているときには常時測位データを記録し、時には原位置でのポイントデータを登録できる機能があります。
- 現場で測位データを確認したい場合には、2B(Tripmate850、Transystem社製、MTK社製GPSチップ)というところでしょうか。
- 測位データの精度を優先させたい場合には、2C(WBT-202、Wintec社製、U-blox社製GPSチップ)というところでしょうか。
- 予算があり、1/25000地形図(10mコンター付き)を表示させたいなら、3B(eTrex30J、Garmin社製、SiRF社製GPSチップW?、GLONASS対応)がお薦めです。測位データは、直前た居た位置を強く引きずる癖がありますが、汎用性があるので、無難なところでしょう。
- 予算は少なく、測位データ精度はそこそこ、1/25000地形図は不要なら、3B'(eTrex20x)という手も有りですが、いざ使用してみて背景に何も表示されないとやはり不便さを感じます。割高感のある地形図ですが、購入時にセットで購入する方が長く使用できます。
- 4B(PathfinderSB、Trimble社製、SiRF社製GPSチップV)は測位精度は他の機器と同程度でやや貧弱の印象、GIS用のデータ取得用途以外には全くお薦めできません。