◆ AutoCADのカスタマイズ方法
- AutoCADは平面的なXY軸以外に、Z軸データまで扱える準3次元CADですが、弊社では残念ながら『高機能なドラフター』としてしか使用できていません。そこでは使用頻度の高いコマンド群を1つのツールボックスにまとめ、画面左端の作図領域近くに配置しています。
- 使用頻度の高いコマンド群は全コマンド群のほんの数%です。数にして30個あまり、それらを1つのカスタマイズしたツールボックスに入れています。能率が飛躍的に向上するわけではありませんが、コマンドを探してリボンメニューをめくることはありません。
◆ リボンメニューに変更するか、クラッシックスタイルに固執するか
- AutoCAD2014まであった古い操作環境の選択肢・クラシックスタイル、同2015からはワークスペースでクラシックスタイルが選択できなくなった。使い難いと感じていた旧版ユーザーは同2014版を使い続けていたのではないかと思います。
- しかしながら最新版の同2017で、右図の通りツールボックス主体のクラッシックスタイルの復元が可能となり、リボンメニューも非表示にできます。
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- AutoCAD2017へのバージョンアップインストール時に、旧版AutoCADがインストールされていれば、その操作環境をそのまま引き継いでくれる機能が搭載されています。
- インストール時には表示される画面は右図の通りです。
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- 結果的にはUIがユーザーの選択に任されるという好ましい状況になりました。(やれやれ〜、一般的になった横長HDディスプレイが余計狭くなるリボンメニュー、やはりメリットは感じられない。)
- というわけで本項で記述するカスタマイズは、旧版クラシックスタイルにおけるツールボックス主体のカスタマイズについてです。
◆ カスタマイズ可能なメニューの項目
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- AutoCADでカスタマイズできる項目は多岐に渡りますが、操作性に影響を与えるメニューが最も大きいものといえるでしょう。
- カスタマイズできるメニューの項目は右図に示すように、ワークスペース、クィックアクセスツールバー、リボン、ツールバー、メニューの大きく5つあります。
- このユーザインターフェイスをカスタマイズする画面は、ツール(T)、カスタマイズ(C)、インターフェース(I)で開くことができます。
- カスタマイズする項目で操作性向上に奏功するのは、やはりツールバーではないでしょうか。
◆ ツールバーの表示・非表示
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- ツールバーは、関連するコマンド群をまとめた小道具入れのようなものです。右図に示すよう数多くのツールバーがあります。
- しかしながら各ユーザで使用するコマンドは、限定される場合が多いのではないかと推察しています。使用するコマンドの内使用頻度の高いコマンドが入ったツールバーを表示させておくだけで、作業の効率性が向上します。
- リボンメニューと併用するならともかくツールバー主体で操作するなら、リボンメニューを非表示にして、目的とするツールバーを表示させてみましょう。
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- 1.ツール(T)、パレット、リボン(B)を実行すると、トグルでリボンメニューを非表示にできます。
- 2.次に使用頻度の高いコマンドの入ったツールバーを確認します。ここでは特に頻度の高い「修正」ツールバーを表示させます。
- 3.画面下段のコマンドラインに、「-toolbar」と入力します。
- 4.表示させたいツールバー名として、「修正」を入力します。
- 5.そして、ツールバー名が正しく受け付けられていればそのままリターンか、表示(S)を押します。そうすれば画面内のどこかに浮動状態で「修正」ツールバーが表示されているはずです。
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- 上記コマンドラインの操作で注意点があります。コマンドライン上では半角スペースの入力は、リターンキーが押されたものとみなされます。したがって「修正 II」と半角スペースとされたツールバー名でも「修正_II」とアンダースコアが挿入された状態で名前登録されている場合があるのです。
◆ ツールバーの新規作成
- ツールバーは上下左右の図面の周囲に配置できます。また図面内の何処にでも浮動型でも配置できます。異なるリボンメニューや異なるツールバーに散らばっている、使用頻度の高いコマンド群をまとめて新規ツールバーを作成することができます。
- 自分は上項右図下部のとおり、使用頻度の高いコマンドをまとめた「カスタマイズメニュー」と、前項までに説明してきたビューポート枠内処理関連のコマンド群をまとめた「Z軸回転」というツールバーを作成・使用してきました。
- それでは今回は「NEWツールバー」という新規ツールバーを作成してみます。
- いつものカスタマイズ画面のツールバーにマウスを載せ右クリックすると、右図のように「新規ツールバー」と表示されます。クリックすると最下段に新設欄が設けられ、ツールバー名称が入力できるようになります。
- 「NEWツールバー」と入力し、カスタマイズ画面右下にある「適用」ボタンを押すと、画面のどこかに右図下段にあるような空のツールバーが生成されているはずです。
- この新設ツールバーの中に、使用頻度の高いコマンドを入れていけば良いわけです。その方法はごく簡単で、標準搭載のツールバーの中にあるコマンドをつかんでドラッグ&ドロップするだけです。コマンドのコピペでもOKです。ただしメニューにあるコマンドをツールバーにはコピペできないようです。
- ここでは「複写」と「回転」を新設ツールバー内に組み込んでみました。右図のようにカスタマイズファイル内にコマンドをコピペして適用すると、ツールバーに複写と回転のコマンドイメージのボタンが表示されるようになります。
◆ カスタマイズ環境のPCマシン間での移行
- あるパソコンで使用・構築してきたAutoCADの操作環境を、新しいパソコンに移行したい、あるいは職場内でスキルの高いユーザの環境を複製して見倣いスキルを向上させたい、ということはよくあります。
- そのためには、カスタマイズファイルの転送機能を利用して、書き出し、読み込みをすれば実現できます。ただし下図左側のメインファイルに読込すると、環境が置き換わってしまいます。朱書きしたように右側の新規カスタマイズファイルに読み込んでから、コマンド群やツールバーなどをメインファイル内に複製する方が良いでしょう。